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2014年10月14日 (火)

なぜ猫に精油が危険なのでしょうか。

前の記事でお知らせしたe-Bookが公表されると、米国のブログの読者から質問のほか、米国にはネコの治療に精油を利用している著名な獣医師がいるので、その獣医師と話し合いをするように、などの書き込みがなされました。私は、その獣医師とは考え方が異なるので、同じ土俵に乗る気持ちがないことをお伝えすると大変辛辣な批判もなされ、その獣医師の根強いファンがいることを思い知らされました。


私は、なぜネコでそれほどアロマが危険なのか、いかなる理由があってもアロマはネコにとってはリスクが高過ぎるかということを、可能な限りわかり易く説明を加えました。


肝臓の2段階目の代謝酵素で、UGT1A6というのは、人をはじめ、すべての動物でも肝臓のこの段階の代謝/解毒の1/3を担う大変重要な酵素です。今までは、イエネコと一部の野生ネコなどで、その遺伝子が偽遺伝子で、正常な働きをしないのだと言われてきました。ここほんの一、二年のこと、人の薬理学者の研究で、たまたま種々の動物たちの血液検体が入手できたのでしょう、この非常に大切な酵素をつくる遺伝子の解析が行われました。mRNAのタンパク質をつくるコドンという単位の分析が詳細になされたのです。いままで漠然と不完全な酵素とだけしかわからなかった部分が、遺伝子のどの部分に変異があって、この酵素が働かないのかが解明されたのです。それも、イエネコのみでなく、調べた野生のネコ類で、遺伝子に異常があることが判明しました。これは、真の肉食動物とされるネコ類が、どれほど昔から植物に接する機会がなく、植物の成分を代謝する機会も、必要もなかったことを如実に物語っています。大型でも小型でも、ネコたちは、遺伝子的なハンディキャップを背負っていると言えるでしょう。


更にイエネコに関しましては、肝臓第一段階目の代謝酵素のCYP2Cや、薬剤などの代謝に極めて重要とされるCYP3Aの活性も非常に弱く、様々な毒物/薬物の代謝力は、他の動物種の1/6 1/10しかないとの報告もなされているのです。ネコの飼い主さんたちは、それでもネコに精油を使ってみたいでしょうか。精油を治療に用いている獣医師たちは、きっと、上述のようなネコの代謝酵素や遺伝子の情報をお持ちではないでしょう。治療に成功したネコは、単にラッキーだったとしか言えないのではないでしょうか。もう一度、同じ治療をしたとしたら、何が起るかを予想できる人は皆無です。また、雌ネコは雄ネコより、リスクが高いということも判明しています。ネコばかりではなく、子イヌも、肝臓酵素UGT1A6を持っていませんので、子イヌには、ネコと同様に精油は使うべきではないと思っています。人の新生児も、UGT1A1を持っていませんので、自分の胆汁を代謝できずに新生児黄疸が起ることはあまりにも有名です。それでも、ベビーアロマも産院での出産時の精油の利用なども大ブームです。精油の偽和の観点から言いましても、新生児や周産期や授乳時に精油を利用するのは、決して賢明ではないと考えています。


新生児や幼児に対する精油利用の危険性は、是非Maria Lis-Balchin著「アロマセラピーサイエンス」をご参照下さい。

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