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2014年11月

2014年11月30日 (日)

Micro Encapsulation of EOs (精油のマイクロカプセル化;パウダー化)

2006年の年末のある日、戦慄がはしるニュースがアロマ界に流れました。 米国のブルーカリフォルニアという企業が、精油をマイクロカプセル化することに成功したとのニュースでした。

精油はご存知のように水には溶けません。しかし、ミクロのパウダー化ができると、様々なものに添加して混合することが可能になることを意味していたからです。

それからというものは、この技術がどんどんと進化して、みなさんもご存知かと思いますが、洗濯の洗剤や柔軟剤など、好みの香りで種類や量を自分で調節する時代になってしまいました。信頼していた精油会社は、"ご希望の天然素材や合成香料をカプセル化しますよ"、という企業になってしまい、アロマセラピー用の精油の販売を中止しました。

今では、数多くの様々な線維に様々なパウダー化された化合物が編み込まれ、汗をかいても爽やかさを保つスポーツウェアや、虫の嫌う香りをつけた線維、35回クリーニングしても、なお香りを放ち続けるウール線維でできた洋服なども開発されています。 このような素材を常に素肌につけていたら、感作されないほうがおかしくないでしょうか。ラベンダーのパウダーを練り込んだ寝具などもあるとのこと。猫ちゃんたちが寄り添ったら、健康を保つことができるでしょうか。心配ごとは尽きません。

2014年11月29日 (土)

ペパーミント精油利用時に注意すること

ミント類の精油に含まれるメントールの合成品は、年間で数十万トンも工業的に生産されています。この精油をアロマセラピーで利用する際に知っておかなくてはならないことは、様々な食品や日用品にこうも繁用されている精油でありながら、その安全性に関するデータが不完全だということではないでしょうか。皮膚の感作性テストが行われていない精油なのです。

 

にもかかわらず、私たちの生活環境にメントール入りの製品があふれています。単純計算ではありますが、人間ひとりで1日約 3.2mgを上回る量のミント成分が、好むと好まざるとにかかわらず私たちの身体内に入り込むと試算されています。

 

精油の偽和は想像を絶するものがあります。農場から蒸留所に運ばれる植物につきそって、蒸留現場に立ち会い、その製品を購入してくるのであれば間違いは少ないかと思いますが、仲介者が一人でも入ったら、もう精油の品質は元のままではなくなると言われています。現場に立ち会ったとしても、植物が他の品種と交雑していたとすると、もうMenta piperitaという学名の植物から抽出した精油ではなくなってしまいます。こういうことは良くあることなのです。仲介業者がおらず、自家農園で自家蒸留のG.カモミールの精油を大学で分析していただいたことがあります。微量ですが、なんと、ヨモギアルコールが検出されました。しばらくの間、その理由がわかりませんでした。

 

後に、その農場主がかつてG.カモミール精油の収量を上げるために、やってはならない品種改良と称してモロッコカモミールを交雑させていたことがわかりました。恩師のマーチン・ワット氏が情報を下さいました。そのことが発覚し、この業者は香料業界からはつまはじきにされてしまいました。と、いう訳で、何も知らないアロマセラピストたちをターゲットに自家栽培/自家蒸留を売りにして、あらたなビジネス展開がなされたという訳です。

 

市販のペパーミントには、コーンミントが代用されていたり、合成香料のメントールが添加されていたり、本物の入手は困難を極めます。偽和のあるなしに関らず、ミント類には薬剤との相互作用が大変懸念されています。降圧剤では薬剤のbioavailabilityが上昇して、血圧が下がり過ぎてしまう現象が起ります。シクロスポリンという抗生物質の薬効が高まることが報告されています。消化管の平滑筋を弛緩させる働きがありますので、上手に利用すると、胸焼けを解消できる可能性が示唆されますが、安全性データがない精油であることを忘れてはなりません。ミント入りのタバコを吸っていると、相互作用でニコチンの血中濃度が上がり、ニコチン依存度が高まるため、禁煙ができなくなると言われていますので、ミント入りのタバコは要注意です。その前に、JTのホームページを訪ねると、タバコには本当にびっくりするほど多種多様な精油素材が含まれています。こんな危険な精油はアロマセラピーでは絶対に使わないのに、なぜ生産されているのかという疑問が解けました。こういうところで香料として使われていたのですね。タバコの害の一端を担っていると思えてなりません。

2014年11月26日 (水)

フランキンセンス精油にボスウェリア酸が入っていたら!

ボスウェリア酸の抗炎症作用などは多くの学術報告がなされており、サプリとしても市販されています。精油の研究でも、水蒸気蒸留のフランキンセンス精油に含まれるボスウェリア酸を強調して、治療効果をうたう企業があります。

このボスウェリア酸は、ステロイド剤の投与で阻害される私たちの体内にある5-リポキシゲナーゼを同様に阻害する作用があることから、フランキンセンス精油にはステロイド並みの抗炎症作用があると言われ続けてきました。私もつい最近まで、その説を信じておりましたが、その説は完全な誤りである可能性が高まりました。

良好な抗炎症作用がみられるフランキンセンスハイドロゾルの分析を共同研究先の大学にお願いしたところ、その中にはボスウェリア酸は含まれていませんでした。水蒸気蒸留の精油にも入っていては理由がつかない成分だということが判明してきています。と言いますのは、ボスウェリア酸はトリテルペン類に属し、分子量が456以上にものぼり、自然状態では蒸散することがない固体としてフランキンセンス樹脂中に存在するとのこと。多少でも蒸発することがあれば、蒸留器中でクリーピング現象により、水蒸気蒸留の油層画分あるいは水層画分中に極微量が入り込むということはあるかも知れませんが、その可能性はゼロであることを分析化学者のロバート・パパスは明言しています。彼が言うには、水蒸気蒸留のフランキンセンス精油にボスウェリア酸が成分として含まれていたら、偽和以外の何ものでもない!と断言されています。

フランキンセンス精油と言いましても、フランキンセンスには何百種類もの植物種があり、様々な種の樹脂が集められて蒸留されるので、ボトルに記載されている学名通りの植物から蒸留された可能性もゼロに近いと言われています。このあたりの情報は、私の恩師のマーチン・ワットが占星術で著名なワンダー・セラーさんと一緒にかつてフランキンセンスの産地をたずね、"Frankincense and Myrrh"という書籍を共同で著しています。最近では、フランキンセンス精油の研究者から、B.sacraに有毒物質のトルエンが含まれることが学術的に発表されており、その水蒸気蒸留をした精油を南米で人の臨床実験に使っているとの情報を研究者ご自身から私が得ていますので、驚きを隠せません。米国では臨床実験の許可が下りないからだそうです。もっと驚くべき情報は、蒸留したての当該精油を動物に使うと少量でも死亡するとの情報もいただいています。ワット氏の知る欧州の分析化学者たちからは、水蒸気蒸留のフランキンセンス精油の分析でトルエンが検出されたことはないという意見をいただいています。この物質も、もし入っていたら、誤って混入したか、何らかの偽和があるかのいずれかでしょう。一般の消費者には知るすべもありません。 アロマ業界の恐ろしさはこんなものではありません。このようなフランキンセンス精油の情報などは、ほんの氷山の一角でしょう。

2014年11月25日 (火)

オーストラリア産のユーカリ精油(E.グロブルス)が入手困難な理由

1990年代の中頃からオーストラリアの南東部やビクトリア地方南西部の牧場跡地でプランテーションが開始されましたが、過去に灌漑を受けた地域でこの種のユーカリの生育が悪く、一時、E.globulusはほぼ全滅に近い状態に陥りました。この時、その地域に生息する野生コアラも多大な影響を受けました。後の調査で、灌漑により土壌に過剰な二酸化炭素が供給されてpH値が変動し、極端なマンガン不足が原因でユーカリが枯れたことが判明したのでした。良好に生育する地域のユーカリの葉に含まれる銅の含有量も低いことが報告されています(Australian Forestry 2009, Vol.72 No.1 pp.12-19)。現在は、オーストラリアでも回復しつつあるようですが、今でもE.globulus精油の殆どは中国産が主流となっているように思います。

ユーカリ精油は、花粉症対策に人気のある精油ですが、主成分の1.8-シネオールには細胞傷害性があり、肝臓第一相のCYP3A4で代謝されることが判明しています。Maryland大学からも薬剤との相互作用に関する注意報が出ている精油ですので、アロマセラピーで安易に利用するにはリスクを伴います。特に E.radiataには、安全性データがありませんので、万一、有害作用が発現してクライアントさんに訴えられたら、アロマセラピーの施術者は言い訳することすらできません。人であれ、動物であれ、精油を利用する際には、毒性や皮膚感作性のデータがある精油か否かを確認する必要があると思っています。現在は、容易に動物実験ができませんので、過去のデータは大変貴重なものです。Plant Aromatics(植物の芳香物質を使用する際の安全ガイド)をご参照なさるとよいでしょう。

2014年11月18日 (火)

なぜ通信講座だけに?

ロバート・ティスランドの著書の翻訳で日本に"アロマテラピー"なるものを紹介なさった高山林太郎氏からしばしばお電話をいただきます。様々な意見を交換するなか、何と言っても一番の収穫は、高山氏が大変な猫好きであることがわかったことです。たくさんの読者がおられるブログですから、「先生、是非、ブログで猫にアロマが危険だということを一言でいいので書いて下さい!どれだけの猫の命が救われることでしょう。」と、ずっとずっとお願いし続けておりましたところ、ペットを対象とした"アロマテラピー"は不要の一語に尽きると断言されてしまいました。

 

そうそう、私たちが動物に対して行っているのは"アロマセラピー"で、"アロマテラピー"ではありません。その差は大きいと密かに思っています。

 

高山氏は、フランスのメディカル"アロマテラピー"のバイブルと言われるフランコム氏とペノエル氏の著書の翻訳も手がけておられ、この著書を激賛し、復刻に向けた活動もなさっています。私は、大反対の意見をしっかりお伝えしてあります。フランコム氏は日本で講演をなさる時に薬理学者というタイトルをお使いになりますが、ソルボンヌで医学を勉強なさったと発表しておられますが、大学は卒業なさっておられませんね。また、フランコム氏のルーマニアのアロマ研究所を訪ねた方がいらっしゃいましたら、是非ともお話を伺えたらと思います。高山氏は翻訳をする際には、著者に会ってじかにお話をなさるとお聞きしておりましたので、ペノエル氏についても、医師の免許の有無を実際にご確認なさったか否かをお聞きしたところ、確認をなさっておられないとのこと。可能な限り調査して下さるとお約束下さいました。現在でも盛んに講演をなさっておられますが、どこの大学で何の医学を勉強なさったかを明かすことは皆無です。ホメオパシーが大嫌いな高山氏ですが、ペノエル氏が、ホメオパシーに傾倒していることを知り、困っておられたように感じました。ペノエル氏の出身医大をご存知の方がいらっしゃったら、是非教えていただきたいと思います。フランスの厚生省に当たる部門にお聞きしても、フランス大使館に問い合わせをしても、ペノエル氏が経営する会社に質問をしても、回答が得られません。

 

さらにペノエル氏は、Y精油会社の広告宣伝塔として活躍なさったことに懲りていらっしゃるはずですのに、Y社の分派が過日起業した新たな精油会社のビジネスオープニングの式典で、先日、基調講演をなさいました。ここの精油を使ったトレーニングコースには、フランコム氏も加わるようで、精油業界の背景を全くご存知ないのでしょうか。講師のお一人のマイケル・ショールズ氏は、私の恩師マーチン・ワット氏の通信講座に申し込みをしてきたことがあります。ワット氏が彼の理論の誤りを指摘したところ、連絡がこなくなったとのこと。Y社、D社は米国FDAから薬事違反で警告されて大慌てだと思います。その中、つい先だって分派したA社にこれらのアロマの大御所とされる方々が、同じ系統のネットワークビジネスにこうも即座に加担するとは‥。

 

高山氏とは、ロバート・ティスランドに関しては同感ですので、ロバート・ティスランドにアロマセラピーを習ったとおっしゃる方々、本当にお気の毒です。ティスランド氏は、数滴のユーカリで猫に害が及ぶはずないとブログで質問した方にお答えしておりましたので、ついついティスランド氏のブログに書き込みをしてしまい、心底後悔しています。彼は、私の恩師のHPの記事をそっくりコピペして、ワット氏から抗議を受けたにもかかわらず、記事をあたかも自分がリサーチしたかのようにいまだに訂正も削除もしていません。同じ土俵で議論するべき方ではありませんでした。日本で講演をなさる際に一緒に英国から来日されたワンダ・セラーさんは占星術で著名な方ですが、ロバートはビッグネームだから、すごい人だかり!と、私の恩師のマーチン・ワットに伝えています。すでにビッグネームになってから、ティスランド氏はクライブ・ベンドンの経営する精油会社に精油の分析をお願いすると、1件、いくらかかりますかとの問い合わせがあったとのこと。その際、恩師のワット氏は居合わせており、皆でビッグネームのティスランド氏が精油を分析したことがないことについて、そこでどんな反応が起ったかは想像に難くないと思います。

 

余談になりますが、ワンダ・セラーさんご自身は、占星術とアロマセラピーを結びつけることに非常に消極的とか。日本で通信講座が設けられていることが大変不思議に思われます。トラブルがあったようですが、お金が目的でやっているなら、「ワシャ知らん」とマーチン・ワット氏の一言がありましたので、トラブルは解消されたもようです。世のアロマ情報には私たちの知らない裏の裏がありそうですね。

 

高山氏から教えていただいたことで、心から感謝申し上げることがもう1つございます。私どもの日本アニマルアロマセラピー協会では、今年の春まではホームセミナーを開催しておりましたが、現在は、通信講座のみで対応させていただくことになりました。ホームセミナーや東京の会場でのセミナーを止めてしまったことに、なぜですか、と何名かの方からご質問がございました。理由は福島の原発事故が一番の理由です。セミナーを開催させていただくと、日本全国から会場や当方の協会近くにホテルをとられてご参加下さいます。大変残念なことに、私どもの住む周辺にも、放射線量の非常に高い地域があり、特に若い女性の参加者の安全を確保できないのです。水道水も逆浸透膜で汚染物質を極力取り除き、可能な限り、南の方から取り寄せたお茶や食べ物をご提供させていただいておりました。人数の少ない時は、ランチをご一緒することもございましたが、受講なさる皆様に安全な食材の入手が非常に困難になって参りましたので、通信講座という選択をいたしました。そんな中、高山氏からアロマ関連で教えていただいたブログがございまして、アロマの記事は何ともコメントがむずかしいのですが、このブログを書かれておられる方の研究テーマが金属で、原発事故の際に原子炉素材の一部や燃料の一部が広範囲に散らばったことを実験で実証なさっておられたのです。そのブログを教えて下さった高山氏に心より感謝いたします。こういう真面目な若い研究者の存在を知ることができました。

 

"Under Control"という表現で、世界に大ウソをついた私たちの国のリーダーは、爆発してしまった原子炉を水棺する方法が無理だとわかり、世界初の直接除去法を開発すると報道しました。地球が人類にとって確実に住めない星になるかも知れないという時に、経済最優先の解散です。微妙な距離にある現在進行形の"福一"を心配しながらでは、受講を希望なさる方々をお招きすることができなくなってしまいました。対面での情報のご提供ができないことは残念ではありますが、インターネット環境が整っておられる方であれば、情報は十分お伝えできると信じています。

2014年11月16日 (日)

ハイドロゾルであれば猫に安全でしょうか?

ハイドロゾルは、かつてその殆んどが廃液として蒸留装置から廃棄されていました。しかし近年、化粧品の原料をはじめ、様々な分野でハイドロゾルが注目を集め、需要が高まる中、高額で取引されるようになり、そのため、小規模農家などでは、無菌的な操作をせずに不衛生な状態で採取されたハイドロゾルに、防腐剤(ソルビン酸カリウム、パラベン、フェノール、エトキシエタノールなど)を添加して市場に出荷するといった行為が日常的に行われるようになってきています(アーサー・フィリップス氏私信)。ハイドロゾルから、クリプトスポリジウムなどの原虫が検出されたという報告も増えています。これは、酪農農家が近くに存在することを意味します。著名な講師によるハイドロゾル講習会では飲用が推奨されているようですが、自身の飲用は勿論のこと、動物に飲ませることは勧められない大きな理由の1つでもあります。精油と同じように、xxのハイドロゾルがxxのような症状に効くとばかりに、高額なセミナーなども欧米のセラピストにより開催されているようです。

 

また、販売されているハイドロゾルのいくつかは本当のハイドロゾルではなく、界面活性剤やアルコールを使って蒸留水に精油や合成香料を乳化させて溶かしたものもがあります。これらはもちろん論外ですが、このような製品を代謝機構にハンディカップを背負う動物に使用するとリスクを伴うでしょう。ハイドロゾルであれば、猫やフェレットに安全ということは決して言えません。

 

ハイドロゾルのpH値:

ハイドロゾルには、多くは酸性の固有のpH値範囲があるという記述の書籍があります。ハイドロゾルのバイブル的書籍です。著者は世界各国でセミナーをして、症状別に特定のハイドロゾルの飲用もすすめているようですね。最近、ハイドロゾルのpH値は一定ではないということが明確になってきました。ハイドロゾルも、植物が育つ環境によってその成分構成は一定ではなく、酸性を示すとは限らないのです。植物が栽培される土壌のpH値に大きく左右され、蒸留条件によって天然のラベンダーハイドロゾルでもアルカリ性を示す製品もあります。しかし、本に記載がある固有のpH値にあわせるために、ハイドロゾルの業者は、クエン酸などでpH調整をするのが当然の処理のようになってしまっているのが現行のハイドロゾルビジネスです。このpH調整剤や防腐剤は、食品添加物に一般に使用されており、強い毒性はありませんが、しかし、ハイドロゾルは、それ自体も十分な成分分析されているものが少なく、安全性は確立されておりません。使用には注意が必要であることは間違いありません。『The Lavender Cat』というサイトでは、米国National Animal Poison Control CenterSafdar Khan獣医師が、ネコでのハイドロゾル使用に安全性はまったく保証されたものではないと述べてられています。私ども日本アニマルアロマセラピー協会では、大学との共同研究で犬猫にハイドロゾルを利用した臨床実験を行っておりますが、必ず成分を分析し、その成分と共に、分析に用いた条件を明示しております。アロマの研究発表では、「こういう成分のこういう製品を用いたら、こういう結果がでました」としか発表できないことを知る研究者はほんの一握りの方々です。殆どが、どこ産のxx社のxx精油を使用して実験をしたら、こういう結果が得られました。従って、xx精油にはこのような作用があると結論づけられると結んでいることが殆どです。

 

精油が、蒸留のロットごとに、様々な条件で成分が変動することを認識せず、1精油の作用を一般化してしまうことが大きな誤りであることに、研究者たちは気づいておりません。

ですから、痴呆症の予防にxxの精油が効く、インフルエンザの予防にxxの精油をつけたマスクをすると良いなどと、利点ばかりをクローズアップして、隠された有害作用を無視して公に発言をなさる医療関係者には、レッドカードを提示したい気持ちです。これらの公表記事に利用されている精油には、高濃度の1,8-シネオール(ユーカリプトール:共にアロマ界の俗名)が含まれており、この精油成分には細胞傷害性があることが判明しているものです。医療用クリームに添加すると、皮膚での薬効成分の浸透性を高めるために繁用されるようになっています。ミクロの傷がついて、浸透性が高まるのではありませんか?痴呆症の予防に終日香りを嗅いでいるお年寄りが、喉がヒリヒリすると当該ブレンドを処方されたあるアロマセラピストのブログで述べています。終日、お部屋で飼い主が終日ディフューズをしていたら、飼い猫が肝障害になったと、当協会へもお問い合わせがございました。この1.8-シネオールは、肝臓第I相のCYP3A4という酵素で解毒/代謝することが判明しています。お年寄りたちは、お医者さんで様々なお薬を処方されていることも多いかと思います。お薬が効き過ぎたり、逆にまったく効かなくなったり、相互作用には大変恐ろしい現象があるのです。そのことに目をつぶって、アロマの効果/効能だけを強調することは、アロマ関係者による犯罪ではありませんか?

 

近年の研究で、ハイドロゾルによっては、微量ながらフェノール類(例、タイムやクローブのハイドロゾル)やケトン類(例、スペアミントやユーカリ・ラディアタのハイドロゾル)、更にケトンの一種であるカンファー(例、ローズマリー/ベルベノンタイプのハイドロゾル)が多く含まれることもわかってきています。今後の分析でも、新たに動物にとって有害な成分が検出される可能性もありますので、留意しながら使用すべきであると思っています。健常なネコであっても、良質のハイドロゾルでも、使用は必要最小限に止めた方が安全だと思っています。めずらしい種類のハイドロゾルなどの使用は避けるべきでしょう。安心して臨床に利用するには、成分分析は欠かせない条件の1つです。

 

2014年11月14日 (金)

ラベンダーのこと

ラベンダーの本格的な栽培が始まったのは、1600年代初頭で、当初は、Lavandula.angustifoliaL.latifoliaの交配がすすみ、次いでL.stoechasが栽培されるようになり、さらに多くに品種が栽培されるようになりました。L.angustifoliaにも、無数の品種が改良されています。1921年、タスマニアのラベンダー精油ビジネスに関わったCharles Dennyは、11年をかけて2500の遺伝子型を持つL.angustifoliaから487の遺伝子型を選び出し、高品質で収量の多い13種をターゲットに研究を重ね、ついには4種の遺伝子型のラベンダーを大規模栽培用に育てあげたのでした。この4種の遺伝子型をもつそれぞれのラベンダーは、交雑されてcomunellesという名称が付されました。気候の変動にも強く、生化学的にも安定したラベンダー精油が採れると言われ、人気の栽培種となっていきました。その後、種々のクローン種が生み出され、それらが市場を賑わしているので、アロマセラピストの方々が重用するラベンダー精油が、クローン種であることも々かと思います。クローン種は、短期間で新品種をつくり出せる利点がありますが、元になる植物に何らかの病気が潜んでいたりすると、大規模栽培で育てた植物をすべて廃棄しなくてはならない事象が起ることがありますので、リスクをはらんでいます。植物が種々の病気にかかることを考慮すると、栽培植物で遺伝子の多様性を欠くと、植物は生き残っていけないのです。大きな問題ですね。

ラベンダーの種5kgが日本に持ち込まれたのは、1937年のことでした。ちょうど、ガットフォセが「アロマテラピー」という造語をもって書籍を出版した年です。最初に札幌で栽培が行なわれ、1948年から、富良野で栽培が開始され、1970年代のピーク時には、毎年5トンのラベンダー精油が生産されていました。しかしながら、合成品の普及につれ、徐々にラベンダー産業は衰退し、観光客を対象にラベンダー畑を存続させている程度です。日本で栽培されているL.angustifoliaの品種では、HayasakiYouteiHanamoiwaOkamurasakiなどが有名です。

通常アロマセラピーに多用される真正ラベンダーは、AspicEnglish LavenderTrue LavenderSpike Lavenderなど、様々な呼称があり、学名も同義語としてL.angustifolia L.spica L.veraL. officinalisL.fragrans などが用いられていて、大変混乱しています。(特にL. veraは野生種に好んで付される学名ですが、本当に野生種か否かには?が付されます)。Lavenderという名称は、古代、水浴をする際にこの植物を香料として利用したため、ラテン語のLavare(洗う)が語源になっているとのこと。すでにギリシャ時代の書物にも、ラベンダーに関する記述がなされています。しかしながら、歴史上、はじめてラベンダー属に関する専門書が出版されたのは、1780年(De Lavandula; Lundmark著)のことで、当時は、約8品種の記述があるのみでした。ラバンディン精油が生産されるようになったのは、1920年代後半頃だと言われています。しかし、Lavandula属の植物分類は、現在英国ケンブリッジ大学で再調査中ですが、未だ正確に分類をするには至っていないのが現状のようです。

ラベンダーが交雑しやすいことに加え、アロマセラピストや精油を扱う業者、さらに研究者たちが植物学に精通していないため、植物名の呼称に大混乱が生じています。L. spicaがフレンチラベンダーと呼ばれたり、L. angustifoliaL. latifoliaの交雑種が真正ラベンダーと呼ばたり、研究論文などにそれらの一般名が使用されることもあったりします。それに加え、種をストックする際のラベル記載に誤りがあったり、国際的に販路を広げるために、故意にネーミングを変更したり、生産者が新しい種を開発したと勘違いをして、新たにネーミングをするなど、数多くの要素が重なり、種名が記載されていても、精密なDNA鑑定をしない限り、記載通りの品種であるか否かも判定することができない状況にあります。

つい最近のこと、米国農務省なども関係した真正ラベンダー精油の研究発表で奇異な成分が分析表に記載されていたので、一部のアロマ界ですが、論争が巻き起こっています。私は、この情報を共同研究先の分析者におみせしたところ、「真正ラベンダーのデータとは考えられない」との判定で、米国で研究者が自身で水蒸気蒸留をした実験であっても、やはりこのような混乱がみられるのだなあ、と改めて実感したばかりです。

ラベンダーの歴史で、特筆すべきことは前にも述べましたが、古代ローマ時代、ラベンダーという植物は薬草として利用されていたのですが、その種類はスパイクラベンダーでnardusという呼称で一般に利用されていたということでしょう。キリストにまつわるナルドの香油がラベンダー香油であった可能性は否定できなくなりました。興味深いラベンダーの歴史はハーブの勉強をする方々には必読の書を書かれたM.Grieveにより記述されています。

ラベンダーという植物は、すでにエジプト時代に使用されていたようで、ローマ時代には公衆浴場での香料として、ローマ軍では消毒薬として繁用されていたので、歴史の古い薬草の1つです。中医学の薬草としても、種々の感染症の治療や解熱薬として、また、抗不安薬としても用いられています。アラビアでは、古くから胃痛、腎疾患の治療薬として利用されてきました。その他、媚薬、脱毛予防、胆汁の分泌改善、潰瘍予防、乗り物酔いの治療、高血圧の治療、食欲増進、緊張性頭痛の改善薬として、多用な利用法が報告されているのですが、そのほとんどは薬草としての使用、すなわち水溶性成分が主体のハーブティーとしての効果・効能なのです。一方、ラベンダーの精油としての薬理作用報告は少なく、その中で最も際だつものは、何と言っても真正ラベンダー精油の中枢神経の抑制作用でしょう。in vivo(動物やヒト)の実験では、抗不安、鎮静、抗痙攣作用(特に平滑筋の緊張緩和)など、またin vitro(試験管内)の実験では、抗微生物、防虫、抗腫瘍、局部麻酔、抗酸化作用があることが報告されています。

『ラベンダーの効果』といっても、ハーブと精油の成分には雲泥の差がありますので、情報検索の際には、その効用はハーブのものなのか精油のものなのかに十分留意してリサーチしなくてはなりません。このことは、ラベンダーに限らず、多くの精油に関しても同じなのですが、「アロマセラピーサイエンス」を著したMaria Lis-Balchin女史は、バターを塗ってマッサージをすると、ミルクを飲んだのと同じ効果があると言うのに匹敵すると皮肉っています。Mariaさんは、ゼラニウムの研究でも有名ですが、ラベンダーに関しても、大変ボリュームのある書籍を出版しています。アロマセラピーを志す方々は、彼女の書籍は必読の書ではないかと思います。

実際の市場には、驚くほど、いろいろなラベンダー精油が出回っています。詳しい精油の情報が入手困難であった時代には、これら種類が異なるラベンダーを使いわけると、多大な利点があるのではないかと考えられたこともありました。しかし、そのことよりも前に、殆どの精油は、安全性を確認するためのテストが行われていないため、表記されている効果・効能を鵜呑みにして、安易に利用することにはリスクを伴う可能性があることがわかってきました。今は、動物を使った毒性試験などができませんので、過去の感作性や毒性に関する安全性データは、本当に宝物のような存在です。

さらに、精油が製品となって市場に出回る時点で、多くの精油にはジプロピレングリコールやアルコールや、良く似た安価な精油による希釈、あるいは合成香料の添加が行われていることが殆どですので、本物の真正ラベンダー精油の入手は、困難を極めます。

こだわりの蒸留業者を除きますが、全世界的に現在の真正ラベンダー精油の水蒸気蒸留時間は、15分だと言われています。理由は、15分の蒸留で、ほぼ必要な成分が油層画分に抽出されるためです。しかしながら、酢酸リナリルが15分の蒸留時間では、ISOの国際基準に達しませんので、どうしても合成香料である酢酸リナリルとリナロールの増量が行われます。この2成分が、規定量含まれないと市場で売れないからです。

ここで、酢酸リナリルだとか、リナロールだとか、化学名が出てきますと、詳しい化学で学術的な話かと思われるかも知れませんが、これらの有機化合物の名称は、アロマ界のニックネームのような俗称で、アロマに関心のない化学者に、リナロールだ酢酸リナリルだという話をしても通じませんので認識していなくてはなりません。生化学辞典にも、載っていないのです。さすがメントール級になると生化学辞典に登場しますが、これらの化学物質には、国際的ネーミング法(IUPAC)がありますので、そのことも認識しておかなければならないことの1つです。

合成の酢酸リナリルは、デヒドロリナロールを加工して作製されるため、その過程で天然には存在しないジヒドロリナロールが出現するため、この物質の存在を確認すれば、偽和が容易に判定できると言われています。しかし、GC/MSなどの検査には大変な費用がかかってしまいますので、一般の消費者には偽和を知る手だてがありません。売り手はほくそ笑んでいることでしょう。

このジヒドロリナロールは、ラベンダーの皮膚感作性と非常に関係が深く、精油中に1.4%以上含有していると、アレルギー感作のリスクが高まるとされています。かなり高濃度のラベンダー精油(20%)を使用した研究ではありますが、日本でパッチテストの陽性者が1990年には1.1%であったのに対して、1998年には13.9%に上昇し、他の精油を上回る結果を得たとの報告がされています。世界的にも、精油を日常的に使用する職業人の皮膚感作性が、20世紀中頃から問題化しており、近年、英国の大学での調査で、欧米のアロマセラピストの1/4が、開業をしてから1年以内に皮膚炎を体験し、感作性に悩まされていることを報告しています。アロマの教育機関で、こういうことは殆ど報告されないのが実情なのです。

飲酒後にラベンダー精油などのマッサージを受けると、二日酔いがひどくなることはあまりにも有名ですが、それが何故起るかを習うセラピストさんは皆無です。精油の成分が体内の酵素に様々な影響を及ぼすことをアロマ教育機関では口を閉ざしているのか、情報をお持ちでないのか、とても疑問に思います。

精油と体内酵素のお話はアロマを利用する時に、とても重要なことですですので、人でも同じですが、特に動物を対象にする際は、代謝の勉強をせずにアロマセラピーは語れません。

一口に真正ラベンダー精油と言っても、蒸留するバッチ毎に成分はまちまちです。北海道のOkamurasakiを東北地方で栽培したら、酢酸リナリルが0%であったことを故井上重治先生がご報告なさっています。従って、連日のように多くの研究者/医療関係者から精油に関する実験が学術雑誌に報告されていますが、実験者たちが自身で精油の成分を分析し、その分析条件を明記してあるアロマの研究論文は、極めて限定されており、成分分析表を付して販売している精油会社でも、分析条件を問い合わせしても、的確に回答をして下さるところは皆無に近い現状があります。マススペクトロメータが備わってない機関で、クロマトグラフィーと水素炎イオン検出器(FID)のみで成分を付してくる企業がたくさんありますが、どのように成分を同定しているのでしょう。

 

アロマの話をする時に、ある精油を一般化して、xxに効く、xxのような作用があるという表現をすることは、精油がどのような有機化合物かを知らない研究者なのかも知れません。また、偽和のない精油であれば、体外に無事に代謝されると思っておられる方々も、考え方が根本から誤りです。偽和があろうとなかろうと、精油や合成香料の成分は、人を含む動物にとっては生体外異物ですので、いずれにしても、一刻も早く代謝を経て、水溶性に変化させて体外に排泄されるべき物質であることを忘れてはなりません。動物にアロセラピーは無用だとお考えの方も数多くおられることと思います。しかしながら、正しい精油やハイドロゾルを正しく利用すると、医原性の疾患を予防することが不可能でなくなります。耐性菌に悩まされている耳の感染などにも精油とハイドロゾルを使い分けると、有効な治療法になる可能性があります。従来の医療と補完代替療法を上手に組み合わせて、かわいい動物たちの健康を守ってあげたいものです。

2014年11月11日 (火)

人の補完代替医療のお話ですが‥

日本発の情報です。医学系でない大学生1096名に補完代替医療(CAM)に関するアンケート調査が行われました。そのうち、CAMという用語があることを知っていた学生は11%。最も多く知られていたのはアートセラピー(芸術を介した心理療法に類するもの)、次に温泉療法、3番目にアロマセラピーが挙げられました。CAMのことを知る学生たちの数は多くありませんが、様々な療法にそれぞれの学生が独自に優先順位をつけて、複数の方法を試したいと考えていることもわかりました。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25332299

 

CAMの正しい知識がないにもかかわらず、学生たちは自己判断でサプリメントなどを服用していることもわかりました。学生たちのこのような行動が健康に有害な作用をもたらす可能性も指摘され、医療関係者は、患者と密にコミニュケーションをとることで、補完代替医療のリスクを認識しなければならないと結語しています。

 

人の若者の世界における日本の現状ですが、ペットでもサプリメントが大流行りで、多くの飼い主さんがご利用なさっておられることと思います。

 

サプリメントは、創薬のように製薬会社が時間と多額の費用をかけて研究開発する必要がないものが殆どです。審査も緩く、自己責任での利用になりますから、アロマセラピーの精油と同様に大変おいしいビジネスなのです。1つ当たると濡れ手に泡のビジネスができます。スーパーなどのサプリメントの棚をみて下さい。コマーシャルをみて、自由に選んで購入することができます。ビタミン剤なども、必要な成分の用量は、1つの錠剤にしてみると、目に見えない量ですね。他の成分として、増量剤、結合剤、崩壊剤、着色料、香料のほか、犬猫で副反応を誘発する可能性のあるゼラチンが利用されている場合もあります。

 

特に猫にハーブ素材を与えていらっしゃる方はおられませんか?猫は根本的に植物の成分の代謝が不得意です。もし、フェノール誘導体を含むハーブであったりしたら、命にかかわる事象が起っても不思議ではありません。私たちが、ハーブ入りのキャットフードを決しておすすめしない理由の1つでもあります。

 

高齢犬にグルコサミンのサプリを与えていませんか?グルコサミンは、関節で利用するには、アセチルグルコサミンにならないと利用することができません。市販のサプリは、殆どが塩酸グルコサミンか、硫酸グルコサミンですね。犬は、肝臓で様々な物質をアセチル化する能力がありません。何が起るでしょうか?

 

人でも個人差があるように、動物にも個体差があります。それ以上に、動物では、代謝に関して動物の種差があることを忘れてはなりません。人間の健康食=犬の健康食/猫の健康食 とはなり得ない理由がそこにあります。

 

医師や獣医師は、患者/患畜(飼い主)の禀告を聞く時に、何らかのCAMを行っていないか、問わなければならない時代であることが浮き彫りになりました。


ペットに
CAMを考慮する前に、4Dミートを含まない、よけいなハーブを含まない、安全なペットフードの情報を得られて下さい。

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