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2014年11月16日 (日)

ハイドロゾルであれば猫に安全でしょうか?

ハイドロゾルは、かつてその殆んどが廃液として蒸留装置から廃棄されていました。しかし近年、化粧品の原料をはじめ、様々な分野でハイドロゾルが注目を集め、需要が高まる中、高額で取引されるようになり、そのため、小規模農家などでは、無菌的な操作をせずに不衛生な状態で採取されたハイドロゾルに、防腐剤(ソルビン酸カリウム、パラベン、フェノール、エトキシエタノールなど)を添加して市場に出荷するといった行為が日常的に行われるようになってきています(アーサー・フィリップス氏私信)。ハイドロゾルから、クリプトスポリジウムなどの原虫が検出されたという報告も増えています。これは、酪農農家が近くに存在することを意味します。著名な講師によるハイドロゾル講習会では飲用が推奨されているようですが、自身の飲用は勿論のこと、動物に飲ませることは勧められない大きな理由の1つでもあります。精油と同じように、xxのハイドロゾルがxxのような症状に効くとばかりに、高額なセミナーなども欧米のセラピストにより開催されているようです。

 

また、販売されているハイドロゾルのいくつかは本当のハイドロゾルではなく、界面活性剤やアルコールを使って蒸留水に精油や合成香料を乳化させて溶かしたものもがあります。これらはもちろん論外ですが、このような製品を代謝機構にハンディカップを背負う動物に使用するとリスクを伴うでしょう。ハイドロゾルであれば、猫やフェレットに安全ということは決して言えません。

 

ハイドロゾルのpH値:

ハイドロゾルには、多くは酸性の固有のpH値範囲があるという記述の書籍があります。ハイドロゾルのバイブル的書籍です。著者は世界各国でセミナーをして、症状別に特定のハイドロゾルの飲用もすすめているようですね。最近、ハイドロゾルのpH値は一定ではないということが明確になってきました。ハイドロゾルも、植物が育つ環境によってその成分構成は一定ではなく、酸性を示すとは限らないのです。植物が栽培される土壌のpH値に大きく左右され、蒸留条件によって天然のラベンダーハイドロゾルでもアルカリ性を示す製品もあります。しかし、本に記載がある固有のpH値にあわせるために、ハイドロゾルの業者は、クエン酸などでpH調整をするのが当然の処理のようになってしまっているのが現行のハイドロゾルビジネスです。このpH調整剤や防腐剤は、食品添加物に一般に使用されており、強い毒性はありませんが、しかし、ハイドロゾルは、それ自体も十分な成分分析されているものが少なく、安全性は確立されておりません。使用には注意が必要であることは間違いありません。『The Lavender Cat』というサイトでは、米国National Animal Poison Control CenterSafdar Khan獣医師が、ネコでのハイドロゾル使用に安全性はまったく保証されたものではないと述べてられています。私ども日本アニマルアロマセラピー協会では、大学との共同研究で犬猫にハイドロゾルを利用した臨床実験を行っておりますが、必ず成分を分析し、その成分と共に、分析に用いた条件を明示しております。アロマの研究発表では、「こういう成分のこういう製品を用いたら、こういう結果がでました」としか発表できないことを知る研究者はほんの一握りの方々です。殆どが、どこ産のxx社のxx精油を使用して実験をしたら、こういう結果が得られました。従って、xx精油にはこのような作用があると結論づけられると結んでいることが殆どです。

 

精油が、蒸留のロットごとに、様々な条件で成分が変動することを認識せず、1精油の作用を一般化してしまうことが大きな誤りであることに、研究者たちは気づいておりません。

ですから、痴呆症の予防にxxの精油が効く、インフルエンザの予防にxxの精油をつけたマスクをすると良いなどと、利点ばかりをクローズアップして、隠された有害作用を無視して公に発言をなさる医療関係者には、レッドカードを提示したい気持ちです。これらの公表記事に利用されている精油には、高濃度の1,8-シネオール(ユーカリプトール:共にアロマ界の俗名)が含まれており、この精油成分には細胞傷害性があることが判明しているものです。医療用クリームに添加すると、皮膚での薬効成分の浸透性を高めるために繁用されるようになっています。ミクロの傷がついて、浸透性が高まるのではありませんか?痴呆症の予防に終日香りを嗅いでいるお年寄りが、喉がヒリヒリすると当該ブレンドを処方されたあるアロマセラピストのブログで述べています。終日、お部屋で飼い主が終日ディフューズをしていたら、飼い猫が肝障害になったと、当協会へもお問い合わせがございました。この1.8-シネオールは、肝臓第I相のCYP3A4という酵素で解毒/代謝することが判明しています。お年寄りたちは、お医者さんで様々なお薬を処方されていることも多いかと思います。お薬が効き過ぎたり、逆にまったく効かなくなったり、相互作用には大変恐ろしい現象があるのです。そのことに目をつぶって、アロマの効果/効能だけを強調することは、アロマ関係者による犯罪ではありませんか?

 

近年の研究で、ハイドロゾルによっては、微量ながらフェノール類(例、タイムやクローブのハイドロゾル)やケトン類(例、スペアミントやユーカリ・ラディアタのハイドロゾル)、更にケトンの一種であるカンファー(例、ローズマリー/ベルベノンタイプのハイドロゾル)が多く含まれることもわかってきています。今後の分析でも、新たに動物にとって有害な成分が検出される可能性もありますので、留意しながら使用すべきであると思っています。健常なネコであっても、良質のハイドロゾルでも、使用は必要最小限に止めた方が安全だと思っています。めずらしい種類のハイドロゾルなどの使用は避けるべきでしょう。安心して臨床に利用するには、成分分析は欠かせない条件の1つです。

 

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