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2014年12月

2014年12月25日 (木)

精油やハイドロゾル、では一体どこで手に入れたらよいのでしょうか。

アロマセラピストを含む一般の消費者には、正しい精油の入手先を選ぶことは殆ど不可能と言っても過言ではありません。良識ある精油分析化学者たちが、異口同音に市販の精油の95%に何らかの人為的な手が加わっていると公言なさっていることからも、おわかりいただけるかと思います。

 

香りを嗅げばわかるでしょうか?そうですね、鍛えれば、人間の嗅覚で検知できる化学物質の濃度は、ガスクロマトグラフィーを凌ぐと言われていますので、スペシャリストであれば、ある程度、偽和を見抜くことができるかも知れません。

 

データがついている精油を購入すれば安心でしょうか?アロマ教育機関の殆どに精油販売網が付随しおり、そこで資格を取得すると大変な割引率でアロマ製品を購入できることが殆どですね。そう言えば、アロマの勉強では、いかに精油を使ってビジネスを展開していけば良いかを習いませんでしたか?分析データを製品につける企業が増えてきましたので、あたかも「これぞ偽和のない製品」とばかりに、生徒さんたちに推奨し購買力を煽っているように思えます。

 

精油の分析法のこと、アロマの勉強で本当に分析のプロから習いましたか?製品に自動的に付随する分析データでは、通常は何も情報が得られないと思って下さい。本当の分析データを提供して下さる精油会社のデータは、ラベンダーに関するデータだけでも小冊子1冊分にもなります。それも、よほど大量に精油を購入するのでなければ、分析データは有料であることが常です。山あり谷ありのクロマトフラムをつけて下さるので安心と思っておられませんか?クロマトグラフィーを実施しただけでは、精油に含まれる化学物質の数と、その比率(成分比)だけしかわからないことを、しっかりと勉強なさったセラピストさんに未だかつて出会ったことがありません。

 

自分自身が精油を購入している会社は、GC/FIDというガスクロマトグラフィーと水素炎イオン検出器を用いて検査した結果をつけてくれるので本物です、と思っておられませんか? どうぞ、その会社に確認をとって下さい。その分析を行った研究所には、マススペクトロメ−タが備わっていますか?独自の厳しい基準で分析をしていると説明している会社でも、そのことをしっかりと把握なさっておられるところは大変限られています。問い合わせれば、例えMS分析を他所に依頼した場合であっても、誠実な企業であれば、製品を購入すれば、分析条件を教えて下さるでしょう。分析条件を統一しないと、なかなか同様の結果が得られないからです。一度は、各成分ごとにしっかりとマススペクトロメトリーで得られたマススペクトルのデータを解析して、質量分析を行わなければなりません。一定の保持時間のところに出たピーク物質に関するマススペクトルのデータに関して、既知の成分であれば、正しいライブラリーを参照して、しっかりと定性分析を行うか、未知の成分であれば、マススペクトルの解析を試みて、何の物質であるかを決定していく過程が必要となります。GC/FIDだけでは何もわからないのです。保持時間から成分を推定できるのは、最初に行った分析時と条件を揃えてGC/FIDで定量分析を行い、最初に得られたデータから同じ保持時間の物質を類推するだけなのです。

 

アロマ研究の学術発表に、研究者たちが使用したアロマ製品の分析がGC/FIDのみで分析したということであれば、その定性分析データは推定でしかないということになります。GC/FIDのデータだけでは、学術発表に使えないのです。

 

ご自身が購入している精油にデータがついているのであれば、どのように分析したデータなのか、どのような条件で定量/定性分析を行ったものなのかを問うべき時代が来ています。消費者が力を合わせて情報を得る努力をすれば、精油会社もアロマ教育機関も高をくくっていられなくなるでしょう。世の中を変えることができるのは、消費者の運動を広げていく以外には、内部告発などがあっても抹消されてしまうでしょう。

 

市販の精油の殆どに偽和があると指摘されている時代です。特にメディカルアロマセラピーを謳って施術なさっておられる医療関係者の方々には、是非とも、精油業界の裏事情、正しい精油分析法などなど、あなたが患者さんやクライアントさんに利用している精油の質を確かめる努力をなさっていただきたいと思います。

 

1つの企業で販売する精油が、すべて正しい精油であるとは限りません。ある企業には、得意とする精油の入手ルートがあり、そこの精油は確実な製品だということはあるでしょう。でも、通常、精油販売会社は非常に多種類の製品を世界中から入手していることが殆どです。その企業に有能な分析者がいて、信頼できるポリシーのあるオーナーさんであれば理想なのですが、なかなかそういう企業は見つかりません。大元の農家で不正があったら、誰がそれを見抜くことができるでしょうか。欧州の農場/蒸留所を兼ね備えた企業でも、日本をバカにしてくる企業があります。古い製品を売りつけてきたり、農場で栽培する植物種が、学名通りの植物ではなくなっていることを隠して販売してくる企業が多々あります。日本のアロマ関連企業が、彼等を信じて製品を喜んで購入しているからです。

 

販売員が100%天然の精油であることを保証して販売していても、分析データがついていても、あなたにアロマ教育を施した講師陣が推薦する精油であっても、確証がない限り、信頼することはできないのです。精油を採取する植物の多くは農産物に類するものです。欧州では、アンダーグラウンドの組織の力が強く働いていることを除外することはできません。精油の取引は、通常、最低でも50kgとか、トン単位で売り買いがなされます。5mL10mL15mLのボトルに入れた精油の需要は大変特殊で、精油取引の数%でしかありません。本物の精油の価格は、びっくりするほど安価なことがあります。小さなボトルに詰めて、「オーガニック」のラベルを貼れば、価格が何倍、いえ、何十倍にもなったら、そして、消費者が自己責任で使ってくれるメディカルアロマ製品であったら、売る側の人々は笑いが止まらないでしょう。それが精油ビジネスの根底にある事実ではないでしょうか。

 

正しい精油を入手するには、悪意のない、良識ある精油分析のスペシャリストに、どこの精油が本物かという聞く努力を惜しまないで下さい。それも、一人の方を妄信せずに、分析の経験者たちに幅広く意見を伺うことが大切であることは言うまでもありません。

 

非常に限定されますが、誠実に精油ビジネスに取り組んでいらっしゃる一握りの方々がいらっしゃいます。そういう人びとを探し当てることが、真のアロマセラピストの技量だと認識なさると良いでしょう。人から教えていただく情報ではありませんので、ご自身で探し当てるしか方法はないのです。時間と労力と、大変な費用がかかります。それが、アロマの勉強の第一歩で、一番大切な部分ですが、今のアロマ教育に一番欠けている部分ではないかと思います。この精油しか使ってはならないというような指導をする教育機関がありましたら、それこそ現在の精油ビジネスの一端を担う香害の元凶かも知れません。

 

消費者が一致団結することができれば、きっと大きな流れをつくることができるのではないかと考えています。壁は高く厚いと思いますが、それを崩すことも不可能ではないと、ほのかな期待をしています。

2014年12月18日 (木)

精油とハイドロゾルの使い分け

犬猫のフードアレルギーの問題は非常に大きな問題をはらんでおり、米国の著名な皮膚科専門家のある獣医師は、ワクチンが大きく関係しているとおっしゃっています。それだけでしょうか、大変疑問に思います。と、言いますのは、学会発表ものであった重篤な外耳炎が、与えている食餌を見直し、ペットフードを切り替えただけで1ヶ月もしないうちに、すっかり症状が消えてしまった例などを経験しているからです。この犬は、何年も有名な動物病院に通い続けており、抗真菌剤による耳の治療には全く反応しませんでした。飼い主さんの喜びようは想像に難くないと思います。ワン子の名前でお年賀状が届き、びっくりしましたが、私たちにとっては何ともうれしいお便りでした。

 

このような犬の耳の感染をアロマで治療することは可能でしょうか?お答えは、YesともNoとも言えるのです。耳の感染の主因とされるマラセチア属のM.パキデルマティスという真菌は、マラセチア属の真菌中で、大変ユニークな性質があり、自分が増殖するのに油分を必要としない唯一の真菌なのです。耳の感染を起こしているマラセチア属真菌が、M.パキデルマティスであると同定できたとすれば、正しい精油のブレンドを用いた療法が卓効することが多々あるでしょう。この真菌の感染の場合、耳垢をよく観察すると、油っぽくないのが特徴です。もし、耳垢がべっとりと油っぽい性状の場合は、 M.パキデルマティス以外の真菌感染の可能性が高くなります。人の脂漏性湿疹にも、このM.パキデルマティスは存在しないことが知られています。油分があると繁殖できない真菌なのです。この真菌は、油分を嫌うことから、キャリアオイルに抗真菌作用を有する精油を適宜ブレンドして塗布することで、より強力な抗菌作用が期待できるという訳です。病原菌にとって、油分を含む抗真菌作用を有するブレンドオイルは、何とも繁殖しにくいのでしょう。

 

耳垢が油っぽい場合は、キャリアオイルを含むブレンドオイルは、治療には不向きです。その時は、正しいハイドロゾルを試してみられると良いかと思います。ただし、偽和のない精油やハイドロゾルの入手は至難の業であることを知っていなくてはなりません。更にややこしいことに、xx精油やxxハイドロゾルには、xxのような効果/効能があるなどと一般化することも誤りであるためです。その理由は、精油やハイドロゾルは蒸留の製品ごとに、大きく成分が変動することがあるためです。学術的なエビデンスになるのは、こういう成分のこういう精油やハイドロゾルをこのような症状に試してみたら、このような効果が見られた、としか言えないのです。ですから、私達はブレンドのレシピを一般公開することはいたしません。学術報告をする際には、研究仲間が分析条件を明示して成分を分析し、こういう成分のアロマ製品を使ったら、こんな効果がみられたとしか報告しておりません。そのようにしか、報告できないのです。世の中の精油の研究報告をご覧になると、研究者自身が成分を分析している例は非常に限られており、分析条件を明示している例は探すのが困難です。実験に供したアロマ製品の偽和の有無がわからない上に、結論は、常に実験に供した精油を一般化して、xxの精油には、xxの効果があると言える というような結論付けをしています。正しいアロマの研究と言えるでしょうか。

 

しかしながら、いくら正しい精油やハイドロゾルを使い分けることで、フードアレルギーの掻痒感や耳の感染による症状が軽減できても、食餌を見直さない限り、症状は必ずと言ってよいほど再発します。当初は、すっかり症状がとれたワン子たちが、なぜ再発を繰り返すのか、その理由がわかりませんでした。与えているペットフードやおやつ、あるいはサプリメントであることが殆どだということがわかったのは、私がフリント・リバー・ランチに出会ってからでした。アロマセラピーが不要なほど、どんどんと元気を取り戻す動物たちがいることがわかったのです。痒みの強い耳の感染や皮膚症状のある犬などでは、H1ブロッカー作用がある精油と、抗炎症作用のある精油を組み合わせることで、アロマセラピーで症状をある程度軽減してあげることが可能です。ステロイドの使用頻度を低減することも可能です。しかしながら、その原因を取り除いてあげないと、何の解決法にもならないのでした。正しい偽和のないアロマ製品の入手がほぼ不可能な現状では、一般の方々が動物にアロマセラピーを行うこと自体がリスクとなります。精油を動物に利用してみようと思われる時には、精油の利点、欠点(副作用)などに関する情報をしっかりと得られてからにしませんと、動物の命にかかわる事象が起ります。xxの精油がxxに効くと説明しているアロマ関係者がいらっしゃったら、是非ともその根拠をお聞きして下さい。精油成分分析に関して、正しい知識をお持ちか否かということも、その方を信頼する上で、極めて重要な要素です。

 

発表が遅れておりますが、米国で設立された正式な消費者団体であるAssociation for Truth in Pet Foodが、ペットの飼い主さんたちから基金をつのり、一部の療法食を含む市販のペットフードの検査を実施いたしました。身の毛がよだつようなニュースが流れると思いますが、日本のマスメディアがどこまでそれらのニュースをとりあげてくれるかは未知数です。詳しくは「ペットフードの真実」サイトの記事をご参照なさって下さい。

その日が着実に訪れようとしています。

2014年12月11日 (木)

ゼラニウム精油のこと

本来、この精油の名称はペラルゴニウム精油と命名されるべき精油ではなかったかと思います。なぜかと言いますと、精油が採取される植物の殆どはゼラニウム属には属さず、ペラルゴニウム属だからです。ゼラニウム属から採取される真のゼラニウム精油は、ブルガリアのGeranium macrorrhizumという学名の植物から抽出される精油が唯一の製品だからです。ある受講生の方が、この精油を欧州で入手されてセミナーの時に、参加者全員に香りをご披露下さいました。私たちが日頃使っているゼラニウム精油とは異なる香りでした。

 

「アロマセラピーサイエンス」の著者であるMaria Lis-Balchinさんは、ゼラニウムやラベンダーという植物と精油の研究でも有名で、自身で植物を栽培し、精油を抽出なさっています。ゼラニウムとラベンダーそれぞれで、大変なボリュームのある書籍を出版されておられますが、市販のゼラニウム精油には、殆どの場合、合成香料のゲラニオールが添加されており、その抗菌力は天然の精油より強力であると述べています。抗菌力を調べただけでも、市販精油に関する偽和の有無がわかるとまで言っておられます。

 

植物のゼラニウムとペラルゴニウムは、花弁を観察するとその差がわかるかと思いますので、是非、図鑑で調べておかれると良いでしょう。

 

ゼラニウムの香りは、ダニや蚊が嫌う香りとして有名ですが、一昨日こと、Nature OA(オープンアクセスと言って、読者が無料で論文を読めるようになっています。)雑誌に青色LEDで一部の昆虫ですが、殺虫効果があるという論文が発表されました。日本の研究者からの報告です。PCなどから放出されるブルーレイが私たちの目に有害であることから、ブルーレイをカットする眼鏡などが流行ではありますが、可視光線のブルーレイに昆虫の卵やさなぎを殺傷する効果があるとは、今まで発表されたことがありません。昆虫の種によって、殺虫効果のある波長が異なるようですが、48時間の照射で卵がふ化しなかったり、幼虫が死んだり、波長の短い紫外線よりかなり強力な殺虫効果が観察されています。太陽の自然光の中にもブルーレイ成分はありますし、有害な紫外線も多く含まれています。昆虫たちは、光の当たらない場所に産卵したり、成虫になるまで水中で成長したりと、自然界では様々な防御策を講じているようですが、ノーベル賞を受賞されて喜びひとしおの研究者らも、それぞれの国に帰国してニュースをみてビックリなさるかも知れません。

 

省エネ最優先で、生活環境がすべてLEDになったとしたら、私たちの身体に対する影響はだいじょうぶでしょうか。今後の研究が待たれるところです。

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