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2015年1月

2015年1月27日 (火)

精油の偽和のこと

皆様は、きっとご自身がお使いの精油は、しっかりとした所から入手しており、データもついているので本物であると信じておられるでしょう。アロマセラピーの教育団体側でも、当方で扱う製品は正真正銘の本物の精油だと、いろいろな理由をつけてアピールしておられることでしょう。

 

それが信頼に応える良い精油かもしれませんが、そうでない可能性も大変大きいことが証明されつつあります。と、言いますのは、数十年も精油の分析を手がけてきた化学者たちが悲鳴をあげるような事象が起きつつあるからです。もうこうなったら、一般のアロマセラピストやその指導者たちには、打つ手がありません。本物の精油なんて手に入らないと思い、蒸留設備のある農家から直接購入してくるほか、方法がないかもしれませんね。

 

精油の偽和には、いくつか方法が挙げられています。カッティングと称される方法では、キャリアオイルや香水業界で利用する不揮発性の基剤を用いて、精油を増量する技法があります。この成分は揮発性がないので、GC/MSで検出することができません。キャリアオイルなどであれば、ろ紙に染み込ませると油分の跡が残りますので、何かはわからなくても、簡易な方法で偽和が見抜けられることもあろうかと思います。

 

次に、安価な類似の成分や香りのする精油を混合して、高価な製品を増量する技法があります。これはGC/MS検査で詳細な成分を調べると専門家であれば、判定はそう難しくないかもしれません。

 

近似の植物の天然成分を添加する場合もあります。市販のフランキンセンス精油の80%にはテレビン油に含まれるαピネンが添加されていると公言なさる分析化学者もいらっしゃいます。

 

さらには、nature identicalと称される天然の成分と寸分違わぬ合成成分を添加する技法があります。こうなると、合成成分なのか、当該植物に含まれている精油成分なのかの判定には、C14の検査を実施して、その年代を測定しないとわからないと言われています。このような検査を実施してくださるところは、大学の研究室でもない限り、とても一般のアロマセラピストには検査をしてくださる所を見つけることも至難の技でしょう。Nature identicalは全く同一物質と思っていましたので、成分を構成する炭素に違いがあるとは思いませんでした。生きている植物からの炭素と、化石燃料に含まれる年代ものの炭素から成る成分を含む精油に、どんな差異があるのでしょう。興味はつきないところです。

 

さらに最近は、とんでもない技法が用いられるようになりました。天然の前駆物質である成分を加えて、蒸留の過程で目的の成分をつくり出そうとする技術です。スペアミント精油などが好例だと言われています。

 

どうしたらいいのでしょう。アロマセラピーの根底が問われる難問です。

2015年1月15日 (木)

ベースオイルのこと

アロマセラピーを習われた方々は、ブレンドオイルをつくる際に使用する様々なキャリアオイルについて習われたことと思います。その中で、食用オイルの利用は禁止と言われた方はいらっしゃいませんか。アロマセラピー用には、無添加天然のキャリアオイルしか使ってはならない!というのが一般的な情報ですね。

 

話は飛びますが、食酢に関しても、デパートなどの食料品棚に並ぶ製品と、健康食品のコーナーに並ぶ製品で、同じ会社が生産している同様の製品であるにもかかわらず、健康食品コーナーでは倍のお値段になっていることに気づいた方はおられませんか。

 

アロマの講師の方々が、私たちの皮膚と粘膜の違いをご存知かどうか、一度質問をなさってみていただくとその謎が解けるかもしれません。食用オイルは、人が食しても、消化管の粘膜を刺激したり、損傷を与えたりする素材は食品として販売許可は出されませんね。サラダを食べるたびにドレッシングでそのようなことになったら大変です。酸化を予防するために食用オイルには合成ビタミンEが添加されていることも多いかと思います。粘膜にOKな素材が、どうして皮膚に塗布して具合が悪いことがあるでしょうか。オイルそれぞれで、主成分も異なりますし、特性も差異があるため、いろいろと使い分けはあって当然とは思いますが、単純に考えても、一般的に言われていることには賛成できませんね。ビジネス的な策略としか思えない理由です。

 

皮膚と粘膜、どちらが敏感でしょうか。飲んだり食べたりして、粘膜に影響が出ない素材を、皮膚に塗ってはいけないと理由はどこにあるでしょうか。食用オイルをキャリアオイルに使ってはならないという理由が見当たりません。自分で細菌汚染などの検査をすることもなかなかできませんので、信頼のおける食料品店で購入する食用オイルの方が、はるかに安価で安全なのではないでしょうか。あるいは、薬局でオリブオイルを薬品として販売していますので、それを利用されるとより安心でしょう。

 

私共では、動物用のブレンドオイルを作製する際には、ある理由から、キャリアオイルは1種類しか使いません。何かと申しますと、分留ココナッツオイル(fractionated coconut oil)です。このオイルの成分は、中鎖の飽和脂肪酸であるカプリン酸、カプリル酸からできています。まず、分留の過程で高温処理がなされますので、製品はボトルに詰める時に汚染がなければ無菌です。また、飽和脂肪酸であるため、酸素が結びつく箇所がなく、非常に酸化されにくいという特徴があります。ブレンドオイルも非常に長持ちします。分留の過程にて、常温で固まる成分はすべて除去されていますので、無臭に近く透明でサラサラです。さらにブレンドオイルを使う側にとってうれしいことがあります。なんと、主成分であるカプリン酸、カプリル酸には、共に非常に良好な抗真菌作用があり、アロマ製品の真菌感受性テストの際に、対照として利用されることもあり、特にカプリル酸は消化管のカンジダ感染の治療薬として単体で使用されていた歴史もあります。このような利点を持つキャイリアオイルをブレンドづくりに利用しないのはもったいないですね。

 

単体でハンドローションとしても可、お風呂上がりには全身の皮膚にうすく伸ばすも可、高額な化粧品のクリームなどは不要です。

2015年1月12日 (月)

植物免疫のおはなし

私たち人間やペットの動物など、脊椎動物は細胞性免疫と液性免疫のシステムが身体にそなわっていますが、近年、すべての生物には液性免疫レベルの病原微生物に対する防御システムが存在し、植物免疫(plant immunity)という用語も一般化してきています。様々な大学で、種々の病原体に対応する植物免疫の研究が火花を散らしており、侵入してくる病原微生物の認識にかかわる受容体の構造や機能なども解明がすすみ、エフェクターと呼ばれる自らのタンパク質を植物の細胞内に分泌して、病原体を認識していることなども明らかにされつつあります。

 

つい近年まで、精油成分は植物が産生する二次代謝産物で、植物にとっては "存在するとかなり生存に有利" な化合物として捉えられておりました。しかしながら、近年のめざましい植物に関する学問の発展で、なんと、精油成分の中には、植物の免疫を司る生存に不可欠な物質が含まれていることなどが解明されてきたのです。ジャスモン酸やエチレンなどは植物のホルモン様物質として注目を集めてから久しくなりますが、急激にスポットライトが当てられているのは、何と言ってもサリチル酸です。植物免疫の主役を担う物質と言っても過言ではないでしょう。

 

満開のサルビアの花から精油を抽出する際に、1Lの蒸留水に 400mgのサリチル酸をとかして軽く花の部分に噴霧するだけで、精油中のリナロールの濃度を40%以上も上昇させることができたことが実験で示されているほどです。どなたか、ラベンダーでも実験してくださると興味深いのですが。

 

植物は、病原体の侵入を感知すると、サリチル酸を体内にめぐらして警報を発し、フィトアレキシン(植物が生産する抗菌物質)の濃度を上昇させていたのです。しかし、植物の不思議はこれにとどまらず、全身に警報を出してもダメだと悟ると、自ら侵入部位に当たる細胞はアポトーシス(細胞の自殺)を起こして、病原体が体内に拡散しないように自分の細胞を自滅させて、全体を守ろうとする行動に出ます。植物の葉にみられる黄色い斑点などが、そのアポトーシスを起こした跡とみてとれるとか。植物は、動物のように動き回ることができませんので、私たちと比較すると考えられないような異次元のシステムで生きているようです。植物には動物の目のような器官はありませんが、花を愛でる私たちが何色の服を着ているのか、ちゃんと察知もしているそうです。動物たちが食を求めてセコセコ動き回り、伴侶を求めてせっせと自分を偽装したりしている姿をみて、「何とあわれ!」と感じているやも知れません。

 

植物が生産する二次代謝産物を上手に利用させていただく私たちは、もっと植物のことをしっかり知って、その命をいただく際に「ごめんね そして ありがとう」の精神を忘れてはいけないと強く感じるこの頃です。

2015年1月 7日 (水)

皮膚のケラチノサイト(角化細胞)のおはなし

人の皮膚の最上層部にあるケラチノサイトには、多様な受容体が発現し、皮膚感覚の最前線の役目を担っていることが判明してから、まだ日が浅く、細胞内のカルシウムイオンが、その働きの主要な部分を担っているとされています。有名なお話は、アトピー性皮膚炎などの場合には、皮膚のバリア機能が働かず、このカルシウムイオンの変化が起きずに、様々な症状に発展する理由の1つとされています。

 

昨年、サンダルウッドの合成香料が、このケラチノサイトの受容体に感知されて、カルシウム濃度が上昇することが報告され、皮膚の創傷治癒にも一役かっているとの論文が海外で発表されました。しかしながら、日本の研究者からは、このケラチノサイトは温度、圧、可視光などを感知する受容体があり、ちょっとした皮膚への接触でもカルシウム濃度が変化することが既に報告されているのです。

 

合成香料の香りの刺激ではないかも知れないのです。サンダルウッドの香料で実験をした研究者らは、内因性の要素もあるので、香料のみの刺激とは結論づけられないかも知れないという見解を述べていますので、私はそれに同感です。

 

よくアロママッサージの効果/効能が医療家などからも報告されますが、もう一度考えてみる必要があるかと思っています。軽い皮膚へのタッチだけで、その刺激が受容体に受け取られて、ケラチノサイトのカルシウム濃度が動くのです。マッサージで皮膚の温度も上昇するでしょう。血流も増加するでしょう。それだけでどれほど効果があるものか想像に難くありません。マッサージ師さんにとっては朗報です。

 

医療家の報告で、アトピー症状の子供達がアロママッサージで症状が改善されたとの実験例が示されています。これには続きがあることを知る人はほとんどおられません。何回かマッサージを受けると、こういう子供達の症状は、そのほとんどで悪化しているとの報告がなされています。こういうマイナスの論文が取り上げられることはなかなかないのが実情です。発表する側も躊躇してしまうので絶対数も限られています。効いた!効いた!の報告が優先されて、使用したアロマ製品が検証されることもなく、当該精油の効果が一般化されて一人歩きをしていくのです。世の中のアロマ情報は、このように一般化された精油の情報で溢れかえっています。

 

それを受けて、動物にもアロママッサージをするところが増えてきています。その方々が利用している精油は、本当に正しい精油でしょうか。愛猫にアロママッサージはもってのほかですが、愛犬でも人の小児と同様に、何度かマッサージを受けていると精油に対してアレルギー反応が起きる可能性が懸念されます。本物の精油が非常に入手しづらい時代です。合成香料入りのラベンダー精油などでは、正しい精油より皮膚感作性が上昇することが実験で判明しています。

 

マッサージパーラーなどで偽和のある精油で施術を受けて、うっとりとした動物の表情がTVなどで紹介されることがあると、心が痛みます。ワン子たちは、飼い主さんと一緒のお散歩に行くことの方が、何十倍も楽しく、どれほど健康増進に役立つことでしょう。動物にアロマをと考える前に、ぜひ医食同源で、ごはんのことの方が何倍も大切であることを忘れないで下さい。

2015年1月 5日 (月)

アロマの前にペットフードの見直しを!

アロマの前に、ぜひとも試してみなくてはならない事柄があります。犬や猫がかかえるトラブルの多くが、飼い主さんが与えているペットフードに起因することが非常に多いことがその理由です。

米国で公式に設立された消費者団体 Association for Truth in Pet Foodの仲間が資金を出し合って実施した動物病院で処方される療法食を含む著名市販ペットフード12種の分析結果を今朝公表することができました。
ペットを飼育するお仲間、獣医療関係者、ペットフードの規制に関わる行政の方々、ペットフード産業関係者の皆様方に、ぜひともご覧いただきたい検査結果です。

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