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2015年3月 1日 (日)

ボトル記載の植物の学名を信じますか?

ボトル入りの精油を購入する際には、精油を採取した植物の学名が付されていないものは信頼性に乏しいと習いませんでしたか?


精油の偽和が叫ばれる昨今、学名のほか、亜種名あるいはケモタイプなどが書かれていると、より信頼性が高まると勘違いしている方も多いかと。

ボトルに書かれている学名通りの植物から採取された精油である確率は、限りなく一桁の%に近いと思った方が正しいようですよ。

例えばフランキンセンス精油を例にとりますと、主要産地に生育しているボスウェリア属の種で精油の素材になるものは、20種以上もあるそうです。一つの木から少量しか採れない樹脂ですので、少しずつ採取した樹脂が市場に集められます。地域によって、主要な種が分布しているようですので、大まかな分類は可能かもしれませんが、植物学者が同行して、これはBoswellia carterii、これは B.frereanaというように同定しなければ、とても種を分けることは困難だとされています。種々の樹脂が混ぜられて市場に運ばれますので、その中から、B.carteriiだけを分類して蒸留するなど、とてもできるはずがありません。ちなみに、近年は、B.sacraとB.carteriiは同義語(同種)であるとされています。

そんな訳で、ボトルにBoswellia carteriiと記載されていても、当該種の植物から抽出された精油であるにちがいない、とは思わないことが肝要です。これは、フランキンセンス精油に限りません。ラベンダー精油でも交雑していることがありますし、真正ラベンダーの種を購入して育てたはずなのに、ということも多々起こり得ます。種を扱う業者さんが間違えてしまうこともあったりします。ジャーマンカモミールの栽培者が、収量を上げるためにモロッコカモミールをかけ合わせて、香料業界からそっぽをむかれ、やむなくアロマセラピー業界にターゲットを絞り込んで盛んに販売網を広げている例もあります。米国精油分析の第一人者であるDr.Pappasは、市販フランキンセンス精油の80%に合成のαピネンが添加されているとも公言なさっています。

アロマセラピー業界は、精油の利用者が自己責任で使うのが建前ですし、消費者が成分を分析することなど、皆無に近いですので、売る側にとってはこんなにおいしい商売はないのです。私のアロマの恩師 Martin Wattは、占星術の専門家ワンダ・セラーさんと一緒に、フランキンセンスの産地を旅して、「Frankincense and Myrrh」という興味深い本を書いています。

Tea Tree精油も同じことが言えます。ヨーロッパ薬局方では、Melaleuca属(M.alternifolia, M.linariifolia, M.dissitifloraなど)の葉や先端分の枝を水蒸気蒸留して得られる精油と規定しており、M.arternifoliaのみの植物から採取した精油ではありませんね。 ボトルに記載されている植物の学名は信頼性に欠けることがおわかりいただけたでしょうか。

一般の消費者は、一体、何を信じればいいのでしょう。精油を入手する際の大変大きな問題です。

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