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2015年6月

2015年6月12日 (金)

めずらしいラベンダー精油の学術研究報告

イランから、ラベンダー精油の医療現場での実験報告がなされました。心臓の冠状動脈のバイパス手術を受けた患者60人で、2%ラベンダー精油2滴を20分、二日間吸引した患者群と、蒸留水を吸引させたプラセボ群にわけて、術後のストレスや心拍数、呼吸数、血圧などのバイタルサインを調査したものです。

 

それぞれの患者群で測定した検査結果では、収縮期の血圧にやや変化がみられたものの、統計学的に有意な(意味のある)差異は一切みられなかったという報告です。この研究の詳細情報を得るには、31.5ドルを支払って、論文を購入しないと、使われたラベンダー精油を研究者自身で偽和があるか否かを調査したものか、実験のデザインは的確なものか、などなど、詳細はわかりませんが補完代替医療に関する学術報告で、良い結果が得られなかったという報告をする例は非常に稀で、ほとんどは「効いた!効いた!」という報告が多いものです。

 

Complement Ther Med. 2015 Jun;23(3):331-8

 

アロマの情報を得るのには、とてつもない費用がかかるということを認識していなくてはなりません。大学や研究機関などで学術書の出版社と特別契約を結んでいると、研究者たちは費用を自己負担せずにこういう学術論文をダウンロードできるのですが、それでも制約があります。本当に興味ある論文は、自己負担で論文を購入しなくてはならないことも多々あるでしょう。アロマの研究を続けるのにも、ある程度の基金が必要な所以です。ネットで勉強をなさっておられる方々は、さまざまな情報が無料で入手できるとは思わないで欲しいと思います。

 

また、スタップ細胞事件で、嫌というほど思い知らされたかと思いますが、世界的に著名な学術誌に発表された論文でも、すぐにそれを真実と思うことにはリスクを伴います。アロマ関連のブログでも、様々な情報をいち早く翻訳して読者に伝えようと多大な努力をなさっている方々もおられます。大変なご苦労かと思いますが、すべてを鵜呑みにされる危険性を認識していないと、努力が思わぬ後悔につながることもあるのではないでしょうか。

 

過日、関西のマスメディアの方から、ラベンダー精油の効果/効能に関する質問を受けました。ある大学の研究者が発表した効果をマスメディアで取り上げようという計画なのだとか。スタップ細胞事件のことをお話しさせていただき、アロマの利点を大声で叫ぶ前に、リスクもしっかり伝えて欲しいとアロマの有害作用の説明をさせていただきました。

 

市販されているラベンダー精油の95%以上に偽和の兆候があるということが精油分析の専門家が公言なさっています。精油の学術研究をなさる研究者たちは、ぜひとも実験に使用するアロマ製品の品質のチェックを研究者ご自身でなさることを心がけていただきたいと切に希望いたします。でないと、報告される実験結果をエビデンスとして採用できるか否かの判断ができないからです。製品に添付されている分析データを信じておられる研究者がいらっしゃったら、もう一度、精油ビジネスの背景を勉強しなおしていただきたいと思います。それほど、深刻な問題です。

 

田邉和子

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