ラベンダー精油に関するある研究
日本のアロマセラピーの世界でも、最近はゲノムワイド関連でトランスリクトーム解析が行われる時代に突入しました。私は、某大学研究室に所属していた頃、日本人と一部の東洋人に特有の病気に関する遺伝子のSNPと呼ばれる一塩基多型の研究をお手伝いしておりました。それからの科学の発展はすさまじいスピードですすんでいますが、ラットの実験で、ラベンダー精油を経口投与し、腸、脾臓、肝臓の遺伝子の動きを追った研究です。無料の雑誌に公開されていますので、どのような精油が使われたか、どう実験したかなどの情報が入手できます。
無料の論文でよかった!お金を出して読んだとすると、また、数十ドルも損をするところでした。このような高度な研究でも、研究者たちによる供試精油の分析が行われていないのです。大きな問題ですね。フランスxx社真正ラベンダーとしか記述されておりません。
市販の精油の95%以上に何らかの人工的な手が加わっていると言われる時代です。アロマの研究者は、実験をする際には、必ず自分たちで、それが不可能な時は、それなりの研究機関に依頼して、実験に供するアロマ製品の品質を確認していただきたいと思います。研究者らによる供試アロマ製品の成分明記は必須であると考えます。それでも、その製品に対する偽和の有無は判定しづらいことが多いですから。
ましてや、精油販売会社が提供する製品に付帯するデータを信頼するのは、大変なリスクをはらみます。よくラベンダーの実験で、主成分のリナロールに関して、研究者たちがラセミ体のリナロール(合成香料)を入手して、研究を行い、そこで得られたデータから、主成分のリナロールでxxのような結果が得られたので、それはラベンダー精油の効果/効能だと発表をすることが行われていますね。論文を購入して、それをゴミ箱にたたきつけたくなることがあります。
ご存知のように、ラベンダー精油は本物といえども、ボトルごとに成分組成は驚くほど差異がありますので、こういう成分のラベンダー精油をラットに使ってこういう実験をしたら、こんな結果が出ましたとしか言えないのではないでしょうか。様々な成分のラベンダー精油で、実験の数や使った実験動物の数による場合もあるかと思いますが、一般的に、ラベンダー精油にはxxの効果があるというように、効果/効能を「一般化」できない理由がそこにあります。
アロマ学術研究のエビデンスが、大元から崩れる危険性が指摘されます。アロマの研究をなさっている方々には、是非とも心して精油業界の裏事情に関する情報を得ることを怠らないでいただきたいと切に希望いたします。
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